「プリンと女の子」 2022年11月29配信号

【 つれづれ。。。 】

ほぼほぼ毎日御酒を頂く事もあって基本的には辛党、それもかなりの超辛党なSeoulLife Records店長の小杉です。

この週末にですね、ちょっとした所用をこなした一日の終わりに帰宅すべく電車、正確には六甲ライナー、さらにもっと正確に申せば神戸新交通六甲アイランド線に乗車いたしまして。

乗車したのが始発の住吉駅という事もあって発車までに時間があったのでございますが、席に座って少ししてホームのほうから耳に入ってきたのが子供の大きな泣き声、おそらくは小さな女の子でございましょう。

その大きな泣き声はどんどん近づいてきて、そして店長小杉が座っている車両の中に入ってきたのですね。

泣いているのは3~4歳の女の子でございます。

まだ若い御母様も一緒で。

そのうちその女の子が嗚咽にまみれながらも必死に御母様に訴えかけている内容が聞き取れるようになってまいりまして。

まあ至極ざっくり要約すると大体こんな内容でございますよ。

娘「プリンないの!プリンないのっ!」

母「そう、プリンないのよ」

娘「プリンないの!なんでプリンないのぉぉぅ・・・」

母「なんでプリンないかわかるよね?」

娘「言う事きかなかったからぁぁぁあああ・・・ぅぅぅ」

母「だからプリンないのよ」

娘「言う事きくから!言う事きくからぁ!プリン!プリンんんんぅぅぅ」

母「じゃあ、次ちゃんとしてくれたらプリンあげるね」

娘「次じゃ遅いの!次じゃ遅いのぉうぅぅ・・・なんでプリンないのぉぅぅ・・・」

これがまあ1ループとしてざっと2~30ループくらいですか。

色々と考えさせられまして。

いえ、電車の中では静かにするように云々ではございませんよ。

まだ3つ4つの子供のする事です、店長小杉だって紳士淑女の読者の皆様だってその歳にはやっていたであろう事ですよ。覚えていないだけで。

世の中持ち回りでございますよ。

では店長小杉が考えていたのは何かと申せば

「何とかこの子にプリンを食べさせてあげたい」

そういう事でございまして。

上の要約では伝わりませんが、御母様とのやりとりの端々を聞けばシッカリした意思疎通のできる、常日頃から我儘放題なタイプではない女の子であろうと思うのでございます。

それが故に最後の「次じゃ遅いの!」が妙に嫌な想像をさせるのですよ。

人生確かに次じゃもう遅い、そういう局面もあるかも知れませんとも。

御母様も「あの時せめてこの子にプリンを食べさせてあげられていたなら」、そう思うような嫌な嫌な局面が。

想像過多が過ぎますか、そうですか。

しかしまあその親子のその服装等々から現実的な想像をするに、おそらくは女の子自らは望まない外出の前、ちゃんと我慢すれば家に帰る前には大好きなプリンが食べられる、そういう約束があったのでございましょう。

そしてその約束が歳相応のふとした粗相で反古にされてしまったのでしょう。

子供の体感にしてみれば永遠にも近しい長い長い一日の終わりにようやく食べられると楽しみにしていたプリンが、大好きなプリンが、フッと目の前から消えてしまったのです。

それはもう涙と鼻水にまみれ、声を限りに必死に御母様に罪に対しての罰が大きすぎやしないかと訴えかけるでしょうとも。

ただ御母様は一歩も譲る気配は無く、しかしこれがこの御家庭の方針であって50手前独身彼女無しの店長小杉如きが口を挟めるものではございません。

そもそも我が子が居ないのです。

それ以前に我が妻も居ないのです。

さらにそれ以前に妻となるかも知れない彼女も居ないのですから。

そんな店長小杉如きが何をもって親子のこの場に口を差し挟めようものですか。

・・・しかし色々と想像過多な部分を差し引いても、今この女の子の人生の主目的はプリンである事、これに間違いはないでしょうとも。

プリン。

考えてみれば最後にプリンを食べたのはいつだったか、もう思い出せないくらい遥か遠い遠い昔。

何ならプリンの存在自体が長らく頭から消えていたような気がしてまいりますよ。

でも今や超辛党の店長小杉にだって人生の主目的がプリンだった幼い時があった筈です。

この女の子の様にシンプルなその主目的の為にただ必死に生きた一日があった筈です。

否、今だってそんな風に一日を生きられるのではないでしょうか?

この一日を。

プリン。

そう、プリンのために。

そんな訳でその涙が今夜すぐにでも必ず報われますようにと祈りつつ下車、その足ですぐプリンを買って帰宅後に食しまして。

何故にこんなに美味しいものがこれまで頭から消えていたのかと訝りつつ、これを思い出させてくれたあの女の子に是非プリンをひとつ御馳走させて欲しい、そんな事を思いながら今回はこの辺りで御開きとさせて頂きたい次第で。

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それでは、今回のメールマガジンはこのあたりで・・・。

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